はれま

日記です

出棺の前に母が泣くことはわかっていた

出棺の前に母が泣くことはわかっていた。

祖母の枕元で、母は立ち尽くしていた。 参列者がそえる花で、祖母の体が見えなくなっていく。 白い花のなかに浮かぶ顔は、化粧で暖かい色に整えられていた。 母は額の前に花を抱えて、祖母の顔が見えているのかもわからない。

姉が母の肩に手を置いた。 右手で母の肩を撫で、左手で自分の娘を抱えていた。 別れを告げる人の流れは早送りに見えた。

母の姿は祖母と重なった。姉の姿は母と重なった。 姉の肩に手を置くのは、左手に抱えた幼子なのだろうか。

僕は、老いていく母に目を背けたくなったが、遺体を前に悲しみに暮れる娘の姿にも戸惑って、 熱くなった目頭を手で拭うと、花に体温を奪われた手の冷たさを感じた。

冷えた大晦日に身を震わせ、葬儀は終わりへと向かう。